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 付けば仕事に追われてあっと言う間に夏は通り過ぎていて、海にも行けていないし、Fuji Rockはおあずけ、お気に入りのテントも今年は日の目をみずに眠っている。日々の生活に満足はしているけど、たまには日常から少し離れた場所で、思いっきり笑ったり泣いたり、10代のように心が震える瞬間を味わいたい衝動に駆られたりもする。

  RadioheadLiftを聴いて妙に感じ入ってしまう。いや、まぁ単純にすごくいい曲なんだけどさ。

 一つのことに集中しすぎて煮詰まると、どんどん視野が狭まって、自分が生きるこの世界はなんて息苦しいんだろうと錯覚してしまったりする。だから大仕事をやり遂げた後は、ヘトヘトの身体に鞭を打って、大好きな音楽や小説、映画、はては深夜のテレビ番組まで、とにかく何でもいいから頭に情報を詰め込むようにしている。無理してでも自分が好きでたまらないものに触れることで、この世界は素晴らしいもので満ちているということを再認識し、ホッとするのだ。

 そんな時に聞く音楽は、思いっきり前向きなものであればあるほどよい。

 club’89の「FOLKY HOUSE」は、そんな僕たちの生活にぴたっと寄り添い、物語の主人公は他でもない自分自身だということを思い出させてくれる良作だ。水戸を拠点とするサックスを擁する男女混合5人組ポップバンドが織りなす楽曲は、日々の繊細な心の機微を良質なメロディにのせてまっすぐに届けてくれる。

 陽性ヴァイブス全開。随所のトロピカルなアレンジはshortstrawっぽくて素敵。

   帰り道の電車の中で、ランニング中の黄昏時に、ようやく一息ついたお風呂の中で、ささやかな日常にそっと彩りを添えて、喜びも悲しみも全てを肯定してくれる。

  1曲目「FOLKY HOUSE」で歌われていることが全てだと思うし、そっと背中を押された気がした。大人になっても喜びは尽きない。世界はまだ見ぬ素晴らしいもので満ちているのだ。(ニーチェ)