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卍son(マンジスン)です。わが友、よしだゆうすけ君が新譜「工程ペンギン」を発表!!レコ発企画『星座にみえるよ』も大成功だったということで、長めのインタビューをスシローにて(笑)敢行して参りました。

———まずは率直な感想をお願いします。

周りが言うほど疲れなかったというのはある。一番緊張したのは、川本さんとタカハシさんとのセッションかな。みんなで生音を合わせるみたいな感じなんだけどすごい緊張したし、プレッシャーだった。

———セッション自体はどうだった?

想像できないくらいの天才的なイメージではなかったけど、どうしたって距離は感じた。タカハシさんと川本さんは長い付き合いだし、そもそもタカハシさんが繋げてくれた話だし。僕だけ完全アマチュアっていう壁もあるかも。世代もちょっとちがうしね。ただ、訳もわかんない無名の地元ミュージシャンのレコ発に出てくれるっていう度量はすごいよね。100万枚売ったアーティストがさ。

———プロとアマチュアっていう話だけど。今回観ていて気になったのは、タカハシケンジさんと川本真琴さんが本番、譜面を見ながら座って演奏していたということ。けど中川さんとよしださんは何も見ずに立ってライブをしていた。パフォーミング面での違いを感じるところがありました。

僕はその点すごい意識してる。譜面台を置くと、そこで自分の演奏の範囲が終わるんだよね。今まで色んなライブを見ているけど、ぶっちゃけ譜面見てやってるライブで感動したことはないし。ピアニストは多少あるかもしれないけど、ギターの場合って隠れちゃうしさ。

譜面については、プロとアマで逆転していると思う。プロの方が譜面立てるケースって多くて、向井秀徳のアコースティックエレクトリックもそうだった。やっぱりプロの方が間違えなく、不足なく演奏することが求められているんだよね。そこで今回のライブで絶対見せたいものの一つだったのが、泥臭さでだったり、アマチュア的な感動っていうのものだった。質としては僕らの方が絶対落ちるんだけど、どっちの方が人の心を動かすのかみたいなことだね。

———今回、川本真琴・歯肉炎おばけ・タカハシケンジといったネームバリューを、あえて自ら掴みに行った意図とかはあるの?

ことの発端は7月になるんだけど、予定していた「かわだ」でのライブに急遽仕事で出られなくなって、代役を探していたんだよ。そこでふと、中川を呼んだら面白いんじゃないかって思って電話したの。まぁ、結局ダメだったんだけど。その時、ちょっと世間話で、中川は東京で、そこそこ有名な人を呼んで沢山企画をしていて、「なんか企画してみなよっ」て話になったの。とはいってもなぁ、、、じゃあ、中川の人生で最も尊敬するアーティストは川本真琴だから、川本真琴さんとか呼んでみよっか!なんて、それぐらいの軽い話だった。そしたら段々、その話が実際なんとか形になっていったっていう感じ。それから、「当たって砕けろの精神でやってみれば、なんか動くのかもしれない」って思うようになって、前々から好きだった歯肉炎おばけさんにも、ダメ元でアートワークの依頼をした。結果としてTwitterとかで宣伝してもらえたし、多くの人に知ってもらえたりしてすごい良かったと思う。

今回は別のイベントも重なって、若い世代のオーディエンスが少なくなってしまったことは悔いが残るとこかな。学割を大学生までオッケーってしたところもあるし、そこらへんの世代には来てほしかったね。

———話は変わるけど、『☐』のMVについて自身として出来はどう?

すごい良かったと思う。それより前に『劣等越冬ポエット』のMVを自分で録画・編集したってのがあるだけに、ムラーノ(監督、大村君)が作るものと、僕の作るものの違いがはっきり見てとれた。ぶっちゃけた話、僕だったらまず『☐』をMVにはしないの。実は『26』ってアルバムが、来年の3月で配信が終了して完全に廃盤になるんだけど、それに合わせて僕は『26』っていう曲のMVを撮りたいって言ったの。そしたらムラーノから嫌だって言われて(笑)俺が作りたいのはこういう曲じゃないんだって。『☐』って一般受けしないだろうなって出し渋ってたんだけど、一応これもあるけど?って聴かせてみたら、「これがやりたい!」って強く言ってくれて実現した。出来たものには、もうほとんど不満はなかったね。

———大村君が監督した前作MV『素直になれない』では、よしだゆうすけという人物のイメージに重きを置いている印象だけど、今回は曲の思想を細かに映像に反映しているなと思いました。

それに関しては事前の打ち合わせがあって、彼が歌詞を重視したいって提案したんだよ。僕自身も結構、面白い歌詞ができたなって思ってたのもあるしね。

———差し支えない程度にMVの内容の意味について教えてくれる?

特徴的なのは、僕とクルミちゃんとフナコシ君っていう3人のキャラクター。これは僕の脳をイメージしていて、クルミちゃんが右脳、フナコシ君が左脳。奔放さと支配欲、そんな感じのものの「せめぎ合い」を表している。僕は根本として「まだ聞いたことないもの、まだ見たことがないものを作りたい」ってのがあって、この曲のメインテーマも「創作、新しいものをつくるとは」ってことなんだけど、、、その頭の中のせめぎ合いってのを表現できればいいなって思った。

———新しいものは出尽くしたよってやつだね?

あぁ、そうそう。あの歌詞は明確に言っているよね。ここ5年くらいでも、何回言われたことか。偉そうなオジサンとかにさ。

———前アルバムでは『素直になれない』や『人間なんだ、人間なのよ』など内的な葛藤が占める部分が大きかったと思うけれど、今作はもっと俯瞰で見ている感じがしました。今回のアルバムのコンセプトって何かありますか。

まず2年半ぶりってことで何か作りたくてしょうがなかったんだよね。こういうアルバムを作ろうって始めたというよりは、自分から出てくるものを吐き出して、とにかく見切り発車で曲を作って、それらを一つにまとめるっていう作業だった。それで結果的に歯肉炎おばけさんが『工程ペンギン』っていうタイトルを付けてくれたんだけど。アートワークでは三つの丸からペンギンになっていく工程が描かれていて、歌詞カードの中にもペンギン以外の色んなものが出来上がる工程が描かれている。まさに、的を得ているなって思った。僕という素材は同じだけど、相変わらず全曲ジャンルもバラバラだし、目線が変われば曲も変わる。一つのものがいろんな形に変わっていく姿を見せられればいいなって。

アルバム全体としては明るくなったなって思っていて、割とポップな印象を感じている。内に内にっていうよりは、広く見られるようになったとか、肯定的に見られるようになったとか。あと斬新さとポピュラリティーのバランスをすごく考えるようになった。独りよがりではなく、もうちょっと外を向き始めていると思う。

———コウテイ的にね(笑)

いやいや、もとからダジャレだからね(笑)。まぁ、福井で「工程」って言葉を使うのには誇りを感じるよ。

———そのことはもちろん、歯肉炎おばけは知らないよね。

知らない。だからそういう偶然の繋がりは嬉しいね。

———話は離れるけど。先日、「みなさんのおかげでした」と「めちゃイケ」の終了が決まった翌日に、72時間「ホンネテレビ」がネットTVで放送されるというTVメディアの崩壊を象徴する歴史的な出来事があったと思う。それは音楽もしかりで、ストリーミングサービスも今や当然の時代となっている。そんな中、福井で音楽を作って、ライブハウスで演奏するっていうのは、どういう意味があるだろう。ライブハウスで発表するっていうのは古いと思わない?

思う思う。けど、生で目の前の人に向けて演奏するっていう行為自体が消えることはないと思う。それは、どんなにLINEとかが発達して、会話よりも早いスピードでコミュニケーションができるようになったとしても、会話はなくならないだろうっていうくらいの信頼。まぁ、ベクトルの違う感動があると思うよ。

映画とか演劇とか絵とか写真とか、福井にもアマチュアの芸術をやっているひとは少なからずいて、調べれば調べるほど彼らも受け手の少なさに悩んでいるんだよね。そこが繋がれば、いいんじゃないかなって思う。ものの作り方とか表現の仕方だとか、同じ悩みをもっているはず。そういう人達と互いを見聴きし合えれば、お客さんとしても成り立つし、新しい文化ができる可能性もあるんじゃないかな。そして、そこにネットというものも入れてあげる。ネットで活動している人も現場に来てもらって、それをまたネットに還元てしてもらえればいいなって思うね。

———それでは最後におまけとして、最近注目しているオススメアーティストを2つ教えて下さい。片方は県内のアーティストでお願いします。

葵亭真月(県内、落語家、日本一になると思うから)とGENIWAY(YouTuber、曲がめっちゃいい)。